「ぬるぬる」か?「ヌルヌル」か?

以前、ある生徒の作文に「ぬるぬるした石」という言葉が出てきました。 その子はその箇所を見直すと「ひらがなにした方が良い?カタカナにした方が良い?」と私に尋ねてきました。

オノマトペの表記について、厳格にルールを決める学校の先生もいるらしいですが、うちはそういうのを決めていません(というか、それを決めるのはナンセンスだと思う)ので、「どちらでも良いよ」と答えました。

果たしてこの子はどちらにするのだろうと見ていると、少し考えてから、カタカナにすると決めていました。その理由は「『ヌルヌル』の方がぬるぬるしている感じがするから」だそうです。

よくそんなことに気づいたなぁ、でかしたなぁと感心して、思わずにやけてしまいました。

もちろん、「『ヌルヌル』の方がぬるぬるしている感じがする」には大いに議論の余地があるでしょう。私の個人的な語感としては、その子の言うことが分からなくもない一方で、むしろひらがな表記の方がとらえどころのない潤滑感が増すのではないか、という気もしました。

でも、カタカナ表記の方がぬるぬる感を表すのに適していると感じたということは、誰も否定したり訂正したりできない、その子の中の真実でしょう。

その自分の得た感じをしっかり自認して、カタカナ表記を積極的に選択したことは、その子にとってかけがえのない貴重な言語経験になったはずです。

オノマトペというものは、そもそも感覚的なものであり、受け手がどう感じるかに依存するもの。言語文化を共有している人々の間ではある程度共感できる/できないはあるでしょうが、微妙な部分ではやはり個人的な感性がものをいうでしょう。

今回の件は、そんな感覚的な言語表現であるオノマトペの、 さらにその表記から受ける印象についての問題だということがさらに面白いと思いました。

2019年02月02日 | Posted in コラム | タグ: , No Comments » 

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