コトバクラフト「地の文をつくろう Level.1」

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「地の文をつくろう Level.1」は、その名のとおり、地の文を創作してその場面を完成させる教材です。

想像力・文脈把握力・心情把握力・語彙・言葉の象徴的使用への理解・要約力等、いわゆる「国語力」とよばれる力の内実となる要素を幅広く育てることができる取り組みになっています。

地の文とは、物語における会話文以外の文のこと。語り手による語りの部分です。この教材では、その地の文が書かれていない、二人の人物による会話文だけが提示されています。この会話のやり取りをよく読み、それがどんな物語の一場面なのかを想像した上で、適切で効果的な地の文を挿入して、その場面を完成させるのです。

また、地の文を書き加える前段階として、「これまでのあらすじ」を書くという取り組みがあります。提示される会話の場面がどのような経緯のもとで起こっているものであるのかを想像し、それを100字以内でまとめるのです。想像された文脈を明確に、しかも100字という短い字数で言語化する作業が課せられることによって、要約力も鍛えられる取り組みになっています。

教材活用のポイント

この取り組みの効果を最大限にするために重要なポイントは〈地の文の意義を考える〉ということです。地の文は物語の場面状況を説明し、物語を前に進めていくものですが、そこには〈会話文だけでは見えないものを見えるようにする〉という重要な役割があります。たとえば、「おはよう」という会話文ひとつをとっても、〈太郎は陽気な声で「おはよう」と言った。〉と〈太郎は花子の方を見向きもせず、ぶっきらぼうに「おはよう」とだけ言って去って行った。〉とでは、描かれるシチュエーションが大きく異なります。「おはよう」という台詞だけが書かれてあるのでは、その話者である太郎の心情や置かれている状況は読者に知られることはありません。そうした会話文だけでは見えてこないことがらをあらわにさせるのが地の文の存在意義の一つです。

この教材では、このような地の文の存在意義をしっかり果たす文を挿入できることを目指します。たとえば、〈「……」と〇〇は言った。すると△△は「……」と言った。〉などの地の文の入れ方では不十分とします。「…と言った」だけでは、会話文のみによって得られる情報以上のものを描写できていないからです。会話文を見ればわかることだけに留まるのではなく、地の文があって初めて立ち上がるイメージがあるようにさせるのです。そういう地の文を考え抜くことで、子どもたちはこの取り組みから大きな成長の機会を得ることができるはずです。

評価の仕方・留意点

この教材は取り組みの性質上、模範解答というものは存在しません。字数制限内で整ったあらすじを書けたかどうか、意義のある効果的な地の文を挿入できたかどうか、またその地の文は表現豊かで場面を際立たせるものになっているかどうか、全体を通して矛盾がなく筋の通った場面展開がなされているかどうか、といったことを評価するのであって、「このような作品を作らなければならない」といった規範的モデルはありません。

なお、地の文の語り手にするのは、物語の世界にいない第三者にするのでも、あるいは登場人物のうちの誰かにするのでも、どちらでもかまいません。

ただし、場面を俯瞰する第三者を語り手にする場合と、その世界にいる登場人物を語り手にする場合とでは、語りうる内容が若干異なることに留意しなければなりません。たとえば、登場人物のだれか(A)が語り手となった場合には、その人物本人の心情を詳細に語ることは問題がありませんが、それ以外の人物の内面を手に取るように語らせるのは不自然になるおそれがあります。Aにとって、他者であるBやCやDなどの気持ちは容易に見透かせるものではないからです。

子どもたちがこの教材に取り組む際には、こうした語り手の視座についても考えさせることによって、文学作品の味わい方を深く鋭くさせることができるでしょう。

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「コトバクラフト」は、国語専門学習会 種 と こくごネット が共同して開発・発信していく、オリジナル教材のプラットフォームです。本記事のように、制作した教材を両者のwebサイトにてご紹介していきますので、ご家庭での国語学習のご参考にご利用いただければ幸いです。

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