コトバクラフト「喜怒哀楽をこえてゆけ No.1」

「喜怒哀楽をこえてゆけ」は、さまざまな心情表現を使う例文づくりに取り組む教材です。

クリック/タップでpdfファイルをダウンロードしてお使いいただけます

人間の持つ感情は、文字通り「喜怒哀楽」、つまり「うれしい(喜)」「腹が立つ(怒)」「かなしい(哀)」「たのしい(楽)」というおおざっぱな四区分には限られません。心のあり方を表す言葉は多岐にわたるのであり、それらを少しでも多く語彙として身につけていくことが本教材の目的です。

心情のきっかけや経緯も書く

指定された心情語を使って文章作りをしていくのですが、単にその語を用いた短文が書ければよいのではなく、その心情が生じたきっかけや経緯が最低限伝わるように書く必要があります。

たとえば、「よろこばしい」という語であれば、「種太郎はよろこばしいと思った。」というだけでは不十分です。「種太郎は最近授業の復習をする時間をしっかりとっている。先日のテストではその努力の成果が出たので、かれはよろこばしく思っている。」というように、「よろこばしい」という心情が生じたのがどういうわけなのかが伝わるように文章を作っていきます。

そのようにしなければならないのは、当該の心情語の意味をきちんとくみ取ったうえで文章作りをしてもらいたいからです。「種太郎はよろこばしいと思った。」では、「よろこばしい」の部分を、たとえば「せいせいする」や「腹立たしい」といった他の心情語に入れ換えても文が成り立ってしまいます。「よろこばしい」という言葉でなくとも成り立つ文章だということは、「よろこばしい」という心情を理解していなくても書くことができる文章だということです。そのような例文をいくつ作っても何の学びにもなりません。そうなってしまうことを防ぐため、このような制約を設けています。

いっしょに使わなければならない語も

指定された心情語を使うだけではなく、それに併せて文章に登場させる語句がいくつか指定されていますので、それらも全て入っている文章を作る必要があります。

ただし、こうした語句がストーリーを想像するための手がかりになるという側面もあります。慣れないうちは、指定された語句の全てをいれなくてはならないことに難しさを感じるかもしれませんが、トレーニングを重ねていくうちに、それらが制約ではなくむしろヒントなのだと徐々に感じられるようになっていくでしょう。

とは言え、これらの語のなかにも、小学生低~中学年くらいにはあまりなじみの無いと思われる、少々難しい語が入っています。主役である心情語と同様、こうした少しレベルの高い語句を使ってみることで、さらに語彙を広げる機会になるでしょう。

心情語はもちろんのこと、こうした共に指定されている語も、意味が分からなければ辞書を引き、その意味を理解した上で例文づくりに取り組んでもらいたいと思います。

物語文の記述問題対策に

国語の読解問題の、特に物語文に取り組む上で、心情語の語彙の豊かさがとても重要な要素になります。「楽しい」や「悲しい」くらいしか心情語が思い浮かばないため、記述問題の答案をまともに書くことができないという例をよく見かけます。そういった児童・学生に、本教材を通したトレーニングがきっと役に立つはずですので、是非活用していただきたいと思います。

なお、本教材は取り組みの性質上、模範解答というものは存在しません。しかし、当該の心情語や他に指定されている語の意味に正しく沿った事例が書けているか、また、当該の心情に至るきっかけやいきさつが明らかになっているかが、本教材の取り組みを意義深くするために重要になります。それらの点について、お子様の答案を大人の方がチェックをしてあげてください。慣れないうちは大人の方が一緒に取り組んで、解答例を提示してあげると徐々にお子様方も自発的に取り組めるようになるでしょう。

**********

「コトバクラフト」は、国語専門学習会 種 が開発・発信していく、オリジナル教材のシリーズです。ご家庭での国語学習のご参考にご利用いただければ幸いです。

なお、本教材はご家庭での学習のために公開されており、商用利用・無断転載は固く禁じます。なお、学校や学習塾等での本教材の利用をご希望の方は、当学習会にお問い合わせください。

関連記事