主宰の著書出版のお知らせ

2024年3月、主宰・山分が『作文・読解の力がみるみるつく 言葉の仕組みを学ぶレッスン』を上梓いたしました。

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受験・教育系の書籍を多く手掛けていらっしゃるエール出版さんから、昨年の夏にお声がけをいただいて執筆の運びとなりました。

学習会WEBサイトでも紹介している自作教材「コトバクラフト」をエール出版代表の清水さんがご覧になり、これらの教材を題材にして作文や文章読解の方法について伝える本を出す企画をいただいた次第です。

本書の「はじめに」でも話していますが、この本に書いたことは、当学習会の国語との戦いにおける戦術記録の一部のようなものです。実際に当学習会で生徒たちにやってもらっていることを読者のみなさんにも体験していただいたり、あるいは授業をしていくなかで山分が考えていることを読者のみなさんにのぞきこんでいただけたりできる本として書いています。

授業らしく感じていただけるよう、本書は、一つ一つの話題のまとまり(一般的に「章」や「節」と呼ぶもの)を「レッスン」とよんでいます。それぞれのレッスンでは、「コトバクラフト」として公開している教材や、その他当学習会の授業で行っている自作教材や課題を練習問題として出し、読者の方がチャレンジできるようにしています。また、小学高学年くらいのお子さまでも一人で読めるよう、言葉をなるべく平易にし、小学5年生以上配当の漢字にはふりがなをふっています。

レッスン1「具体と抽象」

それぞれのレッスンの内容と見所を、ここで少しずつ紹介させていただきましょう。

まずレッスン1は、言葉と親しくなり、その性質をよく知ることを目的にしたレッスンです。ここでは、「コトバクラフト」教材の「クロスワードパズルであそぼう」や「くわしくしよう」が登場します。「具体と抽象」というレッスンのタイトル通り、このレッスンの目標は具体性と抽象性についての理解を深めることです。国語にとって、具体と抽象という二つの概念は非常に重要な役割を果たしますが、本レッスンはそれらを徹底的に見つめ、読者のみなさんが分かりやすいように分析・解説することに努めました。

レッスン2「生きる文法学習」

次のレッスンは、文法の用語や知識を学ぶレッスンです。

文法と聞くと、あまり魅力的に感じない読者も多いと思います。このレッスンを読むことをひどく退屈に思うかもしれません。ですが、そんな方にこそどうか辛抱してここを読んでいただきたい!

確かに、世間一般における国語文法の教育はあまりおもしろくないものだと思います。一体何の役に立つのかよく分からず、まじめに学ぶ動機を持ちにくい分野であるように感じられるでしょう。しかし、本来、文法というものは、文章を正しく読んだり正しく書いたりすることを支える理論的基礎なのです。本レッスンは、読者のみなさんにその本質を理解していただくことを目指しています。

「主語と述語」、「修飾語」、「体言と用言」といった文法の知識が、文章の読解や作文にどのように生きるのか。そのことをきちんと理解していただける内容になっています。本レッスンは、学習者であるお子さまだけではなく、その保護者の方々に読んでいただくと、お子様の家庭学習のための参考にしていただけると思います。

レッスン3「文脈と『書き言葉』」

三つ目のレッスンは、文章の文脈に対する意識や、「書き言葉」としてふさわしい言葉づかいを身につけていくものです。

ここでは、「コトバクラフト」の「『せりふ』にたよらず書いてみよう」が登場します。この教材は当学習会の作文・記述教育にとってとりわけ大事な役割を果たすものです。これに取り組むことで、多くの子どもたちが、緩みのないしっかりとした書き言葉を身につけていきました。この教材のいくつかの問題を、解説や解答例を交えて載せていますので、読者のみなさんにぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

また、本レッスンでは、「理由を語ること」についても論じています。この話題は、これまで私が多くの児童生徒たちの作文指導をするなかで、問題意識として抱えるようになったことがらです。

かなり多くの子どもたちが、文章を書くときに、意味もなく「理由」を添えようとするのです。やみくもに接続詞の「なぜなら」をつかったり、文末に「…から」をつけたがったりします。理由を添えるのがまったく必要ではない文脈なのに理由をつけようとする、子どもたちのそんな不思議な傾向にスポットを当て、「理由」とは何かということや、「理由になる」とはどういうことなのかについて考察しています。

文章を書く立場である児童や学生はもちろんのこと、文章執筆指導に携わる立場の方にも読んでいただきたい内容です。子どもたちの作文に出てくる「理由」について、同じような問題意識を持っている方に共感していただけるならば、どれほど嬉しいことでしょう。

レッスン4「チャレンジ!種文学賞」

最後のレッスンは、実践編として、当学習会が行っている「種文学賞」で出題してきた作文課題を三つ紹介しています。過去の開催時に学習会生徒の書いた作品を作例として載せていますので、それらを参考に、読者のみなさんにもそれぞれのお題にチャレンジしていただけたらと思います。

また、ここで紹介している「地の文をつくろう」という作文課題については、その狙いや理念が「文学作品を読む意義」ということにつながっています。漫画やアニメ、インターネット上の動画コンテンツなどのさまざまな他の娯楽があふれている昨今、活字で書かれた文章を読むことにどのような意義があるのか。その問についての「種」なりの答えが、この「地の文をつくろう」という課題に結実していると言っても過言ではありません。本書ではそのことについて紙幅を割いて語っていますので、その点についてもぜひ注目していただければ嬉しく思います。

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以上、本書の構成や内容を簡単にお伝えしました。国語専門学習会 種 という一事業体の取り組みや実践を通してではありますが、文章を読み書きする力の育成という普遍的な課題に挑む内容になっています。国語に悩みを持つ多くの方のために、きっと力になることができるでしょう。多くの方にお読みいただれば幸甚の至りです。

拙著『作文・読解の力がみるみるつく 言葉の仕組みを学ぶレッスン』(エール出版)は、全国の書店やオンラインストアにて定価1,600円で販売しています。ぜひお買い求めください。

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