種文学賞(令和元年6月)

6月の種文学賞では、「夏の俳句」を募集しました。

言葉を尽くして伝えたいことを綴る普段の作文課題とは毛色がことなり、俳句づくりでは、イメージしている情景を、最小限の言葉でいかに表現するかが求められます。

言語表現という点では作文と同じですが、言葉の用い方・生かし方についての考え方がまるっきり違います。それだけに子どもたちはだいぶ苦心して句をひねりだしていたようでした。

その苦心の作の中から、とりわけ良かった4つの句(内、1句が特選)をご紹介します。

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(特選)

ソーダ水ふざけてふった記念の日

特選は、小学5年生女の子が詠んでくれたこの句です。

プロ野球の優勝チームがやるビールかけみたいなものでしょうか。 何かの記念日にソーダ水の入った瓶を振り、あふれさせてはしゃいでいる子どもたちの姿が鮮やかに浮かんできます。

最小限の言葉によって、受け手にたくさんの想像の可能性を与えてくれる、まさに俳句らしい表現に成功している見事な一句だと思います。

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(入選)

せみのこえめざましどけいみたいだな

小学2年生の一句。捉え方・表現の仕方ともにまっすぐで、純真さの塊のような作品です。美しいの一言に尽きます。

八重むぐらボール転がり見つからぬ

小学4年生の句です。「八重むぐら」とは、つる性の雑草がうっそうと茂った草むらを意味する夏の季語です。 やや硬さを帯びるこの季語と、「見つからぬ」という文語調がよく響き合っていますね。ここが「見つからない」だったら、きっとうまくいっていなかったでしょう。

真夏日に登る山は宿題山

最後は小学5年生の句です。この句の魅力は、何といってもリズム感。「登る山は宿題山」という、句またがりを含んだ12音が絶妙に気持ちの良い調子外れを起こし、句の面白さを増幅してくれています。

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以上、6月の種文学賞「夏の俳句」の入選作品をご紹介しました。

どれも情景や思いを鮮やかに詠みこんでくれました。今回の課題を通じて、みなさんそれぞれの言語表現の幅が広がったのではないでしょうか。

さて、種文学賞は7月と8月はお休みし、9月から再開します。夏休み期間中は、読書感想文や自由研究など、作文系の宿題が出る生徒も多いでしょう。種に通うみなさんにはそちらの方に力を入れてもらいます。

2019年07月08日 | Posted in コラム | タグ: No Comments » 

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