作文の夏2020 ~書くことがないときに~

(こちらの記事はお子さま向けに書かれています)

読書感想文など作文の宿題をやらなければならないとき、多くの人をなやませる問題の一つがこれではないでしょうか。

「書くことがない!」

原稿用紙3枚なんて、とほうもなく長い道のり…、1枚うめるのさえ大変だよ…。そう頭を抱えて机に向かっている人がこの時期全国に山ほどいると思います。

読書感想文ならば、「題材の本をちゃんとまじめに読めば書くことは思いつくものだ。ちゃんと読まないからいけないんだ」と言う大人がいるかもしれません。でも、そんなことはありません。本をしっかり読んだとしても、思いつかないときには思いつかないものです。

しかし、そうはいっても宿題は宿題です。思いつかないからとあきらめてしまうわけにはいきません。なんとかしぼり出さなければなりませんね。一体どうしたら良いのでしょう?

この学習会でこれまで多くの子どもたちに文章を書かせてきた立場として、ひとつアドバイスをさせていただくとしたら、それは「書こうとしている対象以外のものごとにも目を向けてみる」ということです。

書きたいものとつながっている「他のもの」について書く

たとえば、アイスクリームのことを題材にして文章を書くという場合を考えてみましょう。あなたがアイスクリームを食べたとして、そのことを日記に書くということにしましょうか。

ここで「書こうとしている対象」はアイスクリームになりますね。ですから、「書こうとしている対象以外のものごとにも目を向けてみる」ということは、アイスクリーム以外のものごとについても考えてみるということです。

アイスクリームのことだけを書こうとすると、「おいしかった」「つめたかった」「あまかった」といった言葉しか出てこないおそれがあります。テレビなどでいろいろな料理屋さんをしょうかいするグルメリポーターさんのような人なら、ひとつの食べ物について、ゆたかな表現でとても細かに言い表すことができるかもしれませんが、そういう特別な訓練も経験もつんでいない私たちにはそうもいきません。「アイスクリームを食べました。つめたくてあまくておいしかったです。」くらいは書けそうですが、そこで手が止まり、先をどう書き進めれば良いかわからなくなってしまう、そんなことになってしまいそうです。

しかし、アイスクリームが作文の題材だからといって、そのアイスクリームのことしか書いてはいけないなどということはないのです。なにもアイスクリームはアイスクリームそれ自体だけでこの世界にあるわけではありません。たとえば、それをのせている器があるはずです。また、それを食べるためのスプーンかフォークもあります。そういうものに目を向けてみるのはどうでしょう?

すると、たとえば「うちではいつもアイスクリームを食べるときのお決まりのガラス皿があるよ」とか、この皿でアイスクリームを食べるときとあの皿で食べるときとでは、ちょっとおいしさがちがうな」とか、アイスクリームを盛る器についていろいろと思うことが出てくると思うのです。もちろん、アイスクリームはわざわざお皿に盛らないよ、売られている容器のまま食べるよという人でも、もしかしたらその容器について何か思いつくことがあるかもしれません。「Aのアイスのパッケージのデザインよりも、Bのパッケージの方がおいしそうな感じがするから、いつもBのアイスを買うよ」とか、「Cのアイスはほかのアイスとはちがう独特な形の容器で売られている」とか。

ほら、アイスクリーム自体から目を外して、その器の方に目を向けてみることで話題が生まれました。きっとスプーンやフォークに目を向けてみれば、また新しい話題が出てくるでしょう。こんなふうに、書こうとしている対象のことばかりを言葉にしようとするのではなく、それとつながりのあるあらゆるものも考えの中に入れることで、さまざまな角度から話題をほりおこすことができるのです。

本とあなたと世界の「つながり」

読書感想文でも同じことが言えるでしょう。本の内容そのもののことばかりを考えようとしないで、もっと広い考え方でその本をとらえると良いと思います。たとえば、その本の題名のことをとりあげても良いでしょう。また、表紙のデザインやさし絵だって話題を作ってくれるはずです。さらに、その本の作者・筆者についていろいろ調べてみるのはどうでしょう。同じ作者(筆者)が書いた他の本と読みくらべてみると、何か面白い発見があるかもしれませんね。

あるいは、その本を読み終わったあとのあなたのことを書くというのもおすすめです。読み終わったあと、家族や友だちと、その本について話したことはありませんか?または、本を読んだために見えるようになってきたことや、「これって、あの本に書いてあったことに似ているな」と思ったことはありませんか?

読書感想文といっても、本の内容についての感想を書くということだけにしばられる必要はないはずです。もしそれしか書いてはいけないのだったら、話を広げにくいでしょう。「~という場面がおもしろかったです。~という場面もおもしろかったです。そして~という場面もおもしろかったです。」そんな内容が原稿用紙3枚分くらいずっと続いている文章なんて、つまらないですよね。

もっと広いところを見る目で本と向き合ってみましょう。その本とあなた、そしてあなたの世界は、きっと何らかのとくべつな「つながり」をもっているはずです。その「つながり」に目を向ければ、言葉・話題は自然とわきあがってきて、あなたにしか書けないすてきな読書感想文ができていくでしょう。

(山分大史)

2020年07月20日 | Posted in コラム | タグ: , , No Comments » 

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