中止法に気をつけろ!
「中止法」という文の組み立て方を知っていますか?
この呼び名はあまり一般的ではないかもしれませんが、実は私たちになじみのあるものです。
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「おばあさんは川へ行く。」というところを「おばあさんは川へ行き、」として「おじいさんは山へ行く。」というもう一つの文をつなげ、「おばあさんは川へ行き、おじいさんは山へ行く。」という文にするということです。なんてことはない、普段私たちが文章を書くときに、ごく普通にやっている文の組み立て方ですね。
先日高校生の授業で小論文を指導していたときに、「中止法にするのがふさわしいかどうか」ということが問題になりました。
実は、中止法には、次のような弱点があるのです。
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中止法は、複数の事がらを平坦に並列させるだけなので、その前後の関係が表れないのですね。
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もし、つなげようとしている事がらの間に、因果関係や対立関係などの特定の関係があるのならば、中止法で書き表すには適さないのですね。不用意に中止法でつなげていくと、自分の伝えたいことが十分に伝わらない場合があるのです。
もちろん、中止法で表現した方が良い場合もありますが、自分の書こうとしていることが本当にそれにあたるかどうか、よく吟味する必要があるということです。
以上、中止法という文の組み立て方の注意点について記しました。小論文や作文はもちろん、50字を越える長めの字数条件の記述問題の答案を作るときなどにも関わるのではないかなと思います。文章を書く機会があれば、ぜひ参考にしてみてください。